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ねたばれなのかなあ

2005.11.29

ソーニャ:
でも、仕方がないわ、生きていかなければ!
(間)
ね、ワーニャ伯父さん、生きていきましょうよ。長い、はてしないその日その日を、いつ明けるともしれない夜また夜を、じっと生き通していきましょうね。運命が私たちにくだす試みを、辛抱づよく、じっとこらえて行きましょうね。今のうちも、やがて年をとってからも、片時も休まずに、人のために働きましょうね。そして、やがてその時が来たら、素直に死んで行きましょうね。あの世へ行ったら、どんなに私たちが苦しかったか、どんなに涙を流したか、どんなに辛い一生を送ってきたか、それを残らず申し上げましょうね。すると神さまは、まあ気の毒に、と思ってくださる。その時こそ伯父さん、ねえ伯父さん、あなたにも私にも、明るい、すばらしい、なんとも言えない生活がひらけて、まあ嬉しい!と、思わず声をあげるのよ。そして現在の不仕合わせな暮らしを、なつかしく、ほほえましく振り返って、私たち--ほっと息がつけるんだわ。わたし、ほんとにそう思うの、伯父さん。心底から、燃えるように、焼けつくように、私そう思うの・・・
(伯父の前に膝をついて頭を相手の両手にあずけながら、精根つきた声で)ほっと息がつけるんだわ!

ほっと息がつけるんだわ!そのとき私たちの耳には神さまの御使たちの声が響いて、空一面きらきらしたダイヤモンドでいっぱいになる。そして私たちの見ている前で、この世の中の悪いものがみんな、私たちの悩みも、苦しみも、残らずみんな――世界中に満ちひろがる神さまの大きなお慈悲のなかに呑みこまれてしまうの。そこでやっと、私たちの生活はまるでお母さまがやさしく撫でて下さるような、静かな、うっとりするような、ほんとに楽しいものになるんだわ。私そう思うの、どうしてもそう思うの・・・
(ハンカチで伯父の涙を拭いてやる)
お気の毒なワーニャ伯父さん、いけないわ、泣いていらっしゃるのね。
・・・(涙声で)あなたは一生涯、嬉しいことも楽しいことも、ついぞ知らずにいらしたのねえ。でも、もう少しよ、ワーニャ伯父さん、もう暫くの辛抱よ。・・・やがて、息がつけるんだわ。
・・・(伯父を抱く)ほっと息がつけるんだわ!
 

ソーニャ:ほっと息がつけるんだわ

チェーホフ作 神西清訳「かもめ・ワーニャ伯父さん」(新潮文庫)より



傷心のワーニャを、失恋したソーニャが慰めるというクライマックスの台詞です。
なんだ、いろいろと胸にくるのです。
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